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第10回「ゆっくりひとめぐり」栗駒山麓観光写真コンクール入賞作品
第10回「ゆっくりひとめぐり」栗駒山麓観光写真コンクール
入賞作品が決定しました。
魅力的な栗駒山とその周辺地域の景観資源をテーマに、秋田県、宮城県、岩手県にまたがる栗駒山と、その周辺3市1村の豊かな自然、温泉、歴史、文化など、多彩な魅力を掘り起し、見る人誰もが訪れたくなる作品を募集し、審査員 小松ひとみ氏(写真家)による審査の結果、以下の作品が入賞しました。
応募総数
86作品(審査対象外5作品)
多数のご応募いただき、ありがとうございました。
入賞作品(敬称略)
最優秀賞
「一期一会の紅葉に魅せられて」(栗駒山)
藤原 正之(千葉県市原市)
《撮影者コメント》
紅葉真っ盛りの栗駒山に魅せられた彼女が紅葉に飛び込むイメージを表現したくて、中望遠のレンズで撮影しました。
《審査員講評》
紅葉の美しさに魅せられた作者や彼女の素直に喜ぶ気持ちが選者の心にストレートに響きました。四層に分かれた背景の色バランスもとても考えられています。下から草紅葉の黄色、紅葉にハイマツが入り込んだ緑色、その上には稜線が続く黄色の絨毯、空には抜けるような青と白い雲。素晴らしいのは飛び上がった彼女が、少し日陰の緑色の背景に配置されていること。黄色が入ったウエアーも計算されているようで緻密です。中望遠レンズの圧縮効果により、紅葉にダイブするようなイメージがより強くなりました。今年の秋には稜線のあちこちでダイブする人が続出しそうな気配ですね。
優秀賞(湯沢市長賞)
「温泉モミジ」(湯沢市小安狭)
石田 直哉(秋田県仙北郡美郷町)
《撮影者コメント》
吹き出す大噴湯に浸かったせいか、何故かその上にあるモミジだけが赤く染まっているのが面白かった。
《審査員講評》
定番の撮影ポイントですが、構図や光の見極めが際立った作品です。蒸気が流れる中、遊歩道を歩く観光客のシルエットが美しく、何より光が入り込んだ右側の紅葉と左上の色付き始めた木々とに囲まれた構図が安定感と華やぎを与えてくれました。表現したい部分をクローズアップさせるためのアンダー気味の露出設定も決め手となっています。
優秀賞(栗原市長賞)
「毛嵐が描いた朝」(栗原市伊豆沼堤防)
刈谷 孝也(宮城県仙台市)
《撮影者コメント》
毛嵐が発生し沼一面朝日に染まり遠景に山並みと餌場に飛び立つ雁を配置、伊豆沼の朝のドラマティックな瞬間を何度となく通って撮影。
《審査員講評》
朝日の周りにかかった円形の霞の反射、そこにかかる雲、その周りに飛び立つ水鳥の分量など、すべてにおいて黄金比率の絶妙な画面バランスです。手前の枯れ蓮の重なりがシルエットとなり、その暗部から後方の太陽の明部へと見るものの目線を誘ってくれるカメラポジションも秀逸です。全体を覆う程よい毛嵐の立ち具合がなんとも美しい朝のシーンです。
優秀賞(一関市長賞)
「私の出番」(一関市千厩町千厩市民センター敷地内)
足利 義信(岩手県一関市)
《撮影者コメント》
市民センター主催のかかしまつりの作品を表現しました。
《審査員講評》
「いるいる!こんな逞しいおばちゃんどこにでもいるよね~」などと微笑みながら拝見。おばちゃんかかしがカメラ目線になるように捉えた作者のカメラポジションが素晴らしい。「私の出番」というユニークなタイトルもそこから生まれたのでしょう。抜けるような青空の下、豊年満作の祈りを込めた祭り。来年も10年後も続き、次世代へと受け継がれて欲しいという願いも込めて選ばせてもらいました。
優秀賞(東成瀬村長賞)
「春の里道」(東成瀬村)
菊地 弘(秋田県由利本荘市)
《撮影者コメント》
午後の陽ざしで桜が光り、里道を歩く人が気持ち良さそうでした。
《審査員講評》
田おこし前の田んぼを背景に、春の光に輝く桜がなんとも美しい光景です。田んぼの間を通る作業道には散歩する人影も見え、より里山の景色として完成度が高まりました。さりげない寸景に気づき感動しシャッターを押した一連の作者の気持ちの動きが素直に伝わります。暖かな日差しを感じ、見ているだけで気持ちを和ませてくれる秀作です。
入選1
「衣替日」(湯沢市岩崎地区)
伊藤 栄一(秋田県湯沢市)
《撮影者コメント》
コロナのため2年ぶりにわら交換終了。参加者は手を合わせ無病息五穀豊穣を祈った。
《審査員講評》
地域の道祖神「鹿島様」の衣替えのシーンは二年振りとのこと。作者がシャッターを押したその時は「鹿島様」に地域の方達が手を合わせた瞬間です。コロナ禍の中、「祈り」をテーマに撮られた一枚は記録写真にとどまらず、地域の願いを込めた貴重な作品となりました。
入選2
「朝霧晴れる花畑」(栗原市世界谷地原生花園)
佐藤 勁太(宮城県栗原市)
《撮影者コメント》
朝霧が消え朝日が差し込む一瞬を撮影しました。ワタスゲとレンゲツツジが見頃で世界谷地らしい風景を残すことが出来ました。
《審査員講評》
右奥の朝日の光芒に目を奪われてしまいそうなシーンですが、真っ直ぐ伸びる木道を画面の主役として作画しました。これによって見る者が、「ここを歩いてみたい!」と思ってもらえるはずです。風景写真の切り取りにとどまらず、観光の意味をわかった上での表現が素晴らしい作品です。
入選3
「空撮 春景 室根高原」(一関市室根町室根山山頂)
高橋 貞勝(岩手県奥州市)
《撮影者コメント》
満開のツツジが高原一帯を染める時期に、ドローンで空撮を行った。
《審査員講評》
高橋さんのドローン作品。毎年どんな画像を見ることができるのだろうと楽しみにしています。今年は室根高原の満開のツツジを狙ってくれました。灌木の中に点在するツツジ、右側の少し蛇行しながら登る遊歩道、背景に見えるのは一関市の街並みでしょうか・・・山の様子が一望できるスケールのある作品です。
入選4
「晩秋の御番所」(栗原市花山の御番所)
三塚 東(宮城県栗原市)
《撮影者コメント》
秋も深まる11月、ドウダンツツジの紅葉が真っ盛りでひときわ印象的だった。
《審査員講評》
見事な紅葉を手前に配し花山御番所の盛秋を表現しました。建物の暗部に紅葉を重ね合わせた大胆な構図、玄関先の二人の訪問客の存在もいいアクセントとなっています。全部を見せずに自分が感動した部分をコンパクトにまとめた構成力が際立っています。
入選5
「身近な風景」(栗原市志波姫堀口地内)
星 賢二(宮城県登米市)
《撮影者コメント》
田植え前に水を張った田んぼに写る栗駒山。日によって写る田んぼが変わるので逆さ栗駒山を探す楽しみもあります。
《審査員講評》
水鏡の田んぼに写し出された栗駒山と逆さ栗駒山。風もなく青空が目にも眩しい清々しく気持ちのいい一日を捉えました。左手の作業小屋も邪魔な印象を受けず、むしろ人と自然が共存している雰囲気が出され、いいアクセントとなっています。背景に咲く藤の花も緑の中でポイントになっています。