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第11回「ゆっくりひとめぐり」栗駒山麓観光写真コンクール入賞作品
第11回「ゆっくりひとめぐり」栗駒山麓観光写真コンクール
入賞作品が決定しました
魅力的な栗駒山とその周辺地域の景観資源をテーマに、秋田県、宮城県、岩手県にまたがる栗駒山と、その周辺3市1村の豊かな自然、温泉、歴史、文化など、多彩な魅力を掘り起し、見る人誰もが訪れたくなる作品を募集し、審査員 小松ひとみ氏(写真家)による審査の結果、以下の作品が入賞しました。
応募総数
97作品
多数のご応募をいただき、ありがとうございました。
応募作品展を開催します
応募作品97点を展示しますので、ぜひ足をお運びください。
開催期間
令和5年3月21日火曜日・祝日 から 3月30日木曜日
時間
午前8時30分 から 午後10時00分(最終日は正午まで)
土曜日、日曜日も上記の時間帯に入場できます。
会場
湯沢市役所1階 ロビー
入賞作品の紹介
最優秀賞
「無言の夜明け」 撮影場所:湯沢市皆瀬 五才沼
刈谷 孝也さん(宮城県仙台市)
撮影者コメント
晩秋の落葉が湖面に散り、残月と朝日が山肌に射すタイミングを狙い何度となく足を運んだ。夜が明けるにつれて静寂に包まれた神秘の五才沼が鏡となり、湖面に映し出す晩秋の光景を撮影することができた。
審査員講評
晩秋の五才沼に朝の光が差し込む数分間、刻々と印象が変わる自然条件の中、作者は夢中でシャッターを切ったことでしょう。その中から選び出したこの一枚に選者が唸ったのは湖面の上の草地を走る横のラインの表現。現実と非現実、あるいはあの世とこの世・・・風景写真の現場で感じる自然界の結界など・・・様々な強烈なメッセージを放っています。空に浮かぶ少し欠けた残月もそんな印象を強く後押ししてくれました。
ロケハンから始まり何度も通い、方角、月の満ち欠け、気象、様々な条件を読み、綿密な計画を練り上げて当日に臨んだことでしょう。冷静沈着な計算と一枚にかける情熱。何より自然に感謝する気持ちが生み出した見事な秀作です。
優秀賞(湯沢市長賞)
「まっていた七夕まつり」 撮影場所:湯沢市
由利 嘉智彦さん(湯沢市)
撮影者コメント
3年ぶりの七夕まつり 3才の子供はじめて見た喜び
審査員講評
3年ぶりにようやく開催された「湯沢七夕絵どうろうまつり」。作者も絵どうろうも、生き生きと祭りを楽しんでいる印象です。
絵どうろうの外側の枠を入れずに、浮世絵美人の絵と親子のシルエットだけでまとめあげたことで、今までの観光写真とは一味違う作品となりました。親子が浮世絵の中に入り込み、時空を超えて夏のひと夜を楽しんでいるかのように見えました。子供の目線で捉えた祭りはきっとこんな風に映っているのでしょうね。
優秀賞(栗原市長賞)
「暮れる山里」 撮影場所:栗駒文字三峰前
三塚 東さん(宮城県栗原市)
撮影者コメント
栗駒山の雪解け水は農地を潤し、田植えが終わったばかりの山里は夕日に染まっていた。
審査員講評
少し不揃いに並んだ手前の早苗がなんとも暖かくほのぼのとしています。その早苗の先には夕陽に染まる堂々たる残雪の栗駒山。水田に映り込む逆さ栗駒山の表現も見事です。
余分なものを削ぎ落とした縦位置構図の選択と前景の早苗を主役に配したことで静かながらも心地良いリズム感が生まれました。春を喜ぶ農家さんの気持ちを代弁しているような表現です。柔らかな夕焼けの色合いで全体を統一したことで見るものに郷愁と情感を誘う作品となりました。
優秀賞(一関市長賞)
「春のおとずれ」 撮影場所:岩手県一関市
足利 義信さん(岩手県一関市)
撮影者コメント
種蒔き桜が満開となり農家のお母さんが春の農作業にとりかかった様子。
審査員講評
「今年も綺麗に咲いたな、そろそろ種蒔の季節だな」・・・そんなお母さんの言葉が画面から語りかけてくるほのぼのとした作品です。半逆光の柔らかな春の日差しで満開の桜の美しさを表現、左奥に咲く桜を添景として入れたことで里山の奥行き感が生まれています。さらにクワを担ぐお母さんの位置、動感のある足の動きや目線の方向も秀逸です。
田んぼの傾きとその分量を少なくすることで、より上位を目指せる力量を持っていると感じた作品です。
優秀賞(東成瀬村長賞)
「神秘の輝き」 撮影場所:湯沢市横堀 おしら様の枝垂れ桜
布目 貞義さん(秋田県雄勝郡羽後町)
撮影者コメント
樹齢200年のおしら様枝垂れ桜の上空に北斗七星が輝いた神々しい夜景を撮影しました。撮影中に大きな流れ星が流れて、同時にカメラに納めることが出来ました。
審査員講評
「おしら様の枝垂れ桜」の上に輝く北斗七星、撮影中に偶然にも流れ星が流れ同時に撮影することができたとのこと。まさに天からの贈り物のような神々しい瞬間です。桜の開花と満天の星空とのコラボレーションは年に一回、あるいは数年に一回あるかないかのチャンスです。その瞬間を見事に捉え作品を作りあげました。これが満開の見事な桜であれば100点満点でしたね。
入選
「with 鳥海」 撮影場所:栗駒山 天馬尾根コース
草加 啓之さん(宮城県仙台市)
撮影者コメント
出たり消えたりするブロッケンを2台のカメラで撮った1番よい一枚
審査員講評
なかなかお目にかかれないブロッケン現象。その出会いに感動しアップで撮りたくなる瞬間ですが、作者は慌てず落ち着いて雲海の先の鳥海山の山頂も構図に入れ込んで画面構成しました。ブロッケン現象の事象写真で止まらず、ダイナミックな栗駒山での一期一会の風景写真へと見事に作り上げました。
「勇壮唐梅館絵巻」 撮影場所:岩手県一関市 唐梅館総合公園
高橋 貞勝さん(岩手県奥州市)
撮影者コメント
唐梅館絵巻の大スケール表現の為、魚眼レンズ、自作一脚(4m)で撮影した。
審査員講評
背景の空の青さが印象的で、その場の空気感が伝わってきます。魚眼レンズで祭りのスケール感や全体像を表現。そのレンズの少しの歪みは違和感なく、むしろ取り囲む円陣の丸みや手前の赤い陣羽織の武者たちを強調し、面白い効果を出しています。4メートルの高さから自作の1脚での撮影とのコメント。毎回、人とは違う目線とアプローチで選者を楽しませてくれる作者です。
「見上げる先」 撮影場所:宮城県栗原市 白糸の滝
星 賢二さん(宮城県登米市)
撮影者コメント
滝の下まで行き迫力ある流れと紅葉を狙いました
審査員講評
縦位置構図でぐっと滝に近寄り、少し下から見上げるようなカメラポジションで滝の流れのみを主役にしました。滝の周りの紅葉を脇役として捉えた大胆な構図が成功しています。見る側にも滝の水しぶきがかかるような迫力ある作品です。
空からいきなり滝が出現する大事な部分に白飛びが見られるので、露出をマイナス補正で表現すれば、さらに良くなると感じた作品です。
「魅惑の空に飛んで行く」 撮影場所:宮城県栗原市若柳
堺 博さん(宮城県登米市)
撮影者コメント
雁たちが霧に覆われた空に飛んで行った。霧の世界を抜けたらどんな景色があるのだろうか。
審査員講評
朝焼けの橙色に木々の墨の濃淡だけで統一された画面は、上質な朝の空気感を表現しています。その橙色の空を飛び交う雁の姿はまさに自然が作り出した美しい文様。飛び立つ前の雁が潜む下部の川面を大胆にカットし、木々と空の諧調だけでシンプルに画面構成したことがよりイメージを増幅させてくれました。
「冬の猊鼻渓」 撮影場所:岩手県一関市 猊鼻渓
瀬川 正範さん(岩手県花巻市)
撮影者コメント
水墨画を描いたような景色
審査員講評
樹々に降った絶妙な雪と岩盤の文様が作り出した猊鼻渓の冬の世界。桟橋を渡る人々は、まるで山水画の世界へ誘われるかのように画面に吸い込まれていくかのようです。寒さよりも美しさが勝る、「冬も行ってみたい」と思わせる力量のある静謐な作品です。