○皆瀬村環境基本条例
平成15年12月12日
皆瀬村条例第25号
(前文)
私たちのふるさと皆瀬村は、奥羽山脈の栗駒山を中心に東北4県が隣接する秋田県の南端に位置し、豊かな森林と温泉に恵まれ、皆瀬川の清らかな流れに育まれた田畑を有し、現代の人間社会が求める潤いと安らぎのある美しい自然が保全されている山村である。
すべての村民は、豊かな自然の恵みとその自然がもたらす健全な環境と美しい景観を享受するとともに、この美しい環境と景観を将来の世代へ引き継ぐ責務を負っている。そのためには、大量消費と大量廃棄を伴うこれまでの生活から、環境にやさしく、持続的発展が可能な村を実現する必要がある。
これらの認識のもとに、村、事業者及び村民は互いに協力し、連携を保ちながらそれぞれの責務を自覚し、総合的な環境及び景観の保全に取り組み、皆瀬村の基本構想に定めた「快適な環境で安心して健康に暮らせるむらづくり」を築くため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本村における良好な環境及び景観の保全について基本理念を定めるとともに、村、事業者及び村民の責務を明らかにし、良好な環境及び景観の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の村民の快適かつ健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 環境及び景観の保全は、自然の恵みがすべての村民の健康で文化的な生活に欠くことができないものであることを認識し、将来にわたって、豊かな自然が保護及び育成され、美しい景観が保たれるよう行わなければならない。
2 環境及び景観の保全は、地球の資源が有限であり、自然の回復力にも限りがあることを認識しつつ、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築し、自然と人とが共生し、かつ快適に暮らせることを目的として行わなければならない。
(村の責務)
第3条 村は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という)に基づき、環境及び景観の保全に関し、地域の自然的社会的特性に応じた基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。
2 村は、環境の保全及び景観に関する施策を実施するにあたっては、国及び他の地方公共団体との連携を図るように努めなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、基本理念に基づき事業活動に伴って生じる公害その他環境の汚染を防止するとともに、当該事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への影響を最小限に抑えるよう必要な措置を講じなければならない。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、環境及び景観の保全に努めるとともに、村が実施する環境及び景観の保全に関する施策に協力しなければならない。
(村民の責務)
第5条 村民は、基本理念に基づき、日常生活において、資源及びエネルギーを有効利用し、廃棄物の発生を抑制すること等により、環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、村民は、環境及び景観の保全に自ら努めるとともに、地域における環境及び景観の保全に関する施策に協力しなければならない。
第2章 基本施策等
(環境基本計画)
第6条 村長は、環境及び景観の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境及び景観の保全に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、環境及び景観保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 村長は、環境基本計画を定めようとするときは、皆瀬村環境審議会の意見を聞かなければならない。
4 村長は、環境基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更についても準用する。
(施策の策定等に係る環境への配慮)
第7条 村は、環境及び景観に影響を及ぼすと認められる施策を策定、実施する場合は、環境基本計画との整合性を図るとともに、環境等の保全に配慮するように努めるものとする。
(財政上の措置)
第8条 村は、環境及び景観に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(規制措置)
第9条 村は、公害の原因となる行為及び環境並びに景観の保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じるよう努めるものとする。
2 前条に定めるもののほか、村は、環境及び景観の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(経済的措置)
第10条 村は事業者及び村民が自ら環境への負荷を低減するための施設の整備その他の適正な措置をとるよう誘導するため、助成その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境の調査及び監視)
第11条 村は、環境の状況を把握し、環境及び景観の保全に関する施策を策定し、及び当該施策を実施するため、必要な調査及び監視に努めるものとする。
(情報の提供)
第12条 村は環境及び景観の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境及び景観の状況その他必要な情報を提供するよう努めるものとする。
(施設の整備等)
第13条 村は、環境及び景観の保全に資する公共的施設の整備その他これに類する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 村は、公共的施設において資源及びエネルギーの有効利用等を図ることにより、環境への負荷が低減されるよう努めるものとする。
(事業等に係る環境及び景観等への配慮)
第14条 環境及び景観に影響を及ぼすおそれのある土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行おうとする者は、当該事業の立案及び実施について環境及び景観への影響を緩和するための配慮をするよう努めるものとする。
2 村は、前項の規定による配慮を推進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境影響調査)
第15条 村は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、あらかじめ当該事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、当該事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(事業者における環境管理等の促進)
第16条 村は事業者が、自らその事業活動に伴う環境への負荷の低減を図るため、環境の管理方針、体制等の整備を行うことについて、その促進に関し必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自主的な活動の促進)
第17条 村は、事業者、村民又はこれらの者と構成する民間の団体が自主的に行う環境及び景観の保全に関する活動を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境学習の推進)
第18条 村は、事業者及び村民が環境及び景観の保全についての関心と理解を深めるよう、環境学習を推進するものとする。
(施策の推進体制の整備)
第19条 村は、事業者及び村民の協力の下に環境及び景観の保全に関する施策を推進するため、必要な体制の整備に努めるものとする。
第3章 環境審議会
(設置)
第20条 廃棄物の適正処理及び環境美化等、環境全般について必要な次の事項について調査、研究及び審議を行うため、皆瀬村環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(1) 廃棄物の処理に関すること。
(2) 資源の再利用の促進に関すること。
(3) 環境美化に関すること。
(4) 景観に関すること。
(5) 公害に関すること。
(6) その他必要なこと。
(組織及び委員の任期)
第21条 審議会の委員は20名以内で組織し、村長が委嘱する。
2 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。
3 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか必要な事項は村長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。