本文
もくぞうじゅういちめんじざいかんのん
1躯
県指定/彫刻
昭和31年5月21日
湯沢市山田北土沢73番地
土沢神社
平安時代(11~12世紀中頃)
像高450センチメートル カツラ材 一木造
左腕は屈臂(くっぴ)し前腕を前方に向け、右腕は体側に垂下(すいか)している。上半身は条帛(じょうはく)と天衣(てんえ)を、下半身には裳(も)をまとう。頭髪は低平な地髪部上に髷(まげ)を結う。頭頂部は朽廃し宝冠や化仏(けぶつ)は見えないものの、伝承により十一面観音とする。
県内を代表する丈六仏のひとつで、肉身の量感がバランスよく表され、充実した頬の肉づけ、両肩が張り両上腕が太造りであることなどから平安時代(11~12世紀中頃)の作品と考えられ、巨像制作に習熟した作者を想像させる。左手と膝から足元までは後補で、顔から胸にかけて表面が黒色に炭化している。
初め天台宗土沢山安楽寺(あんらくじ)の御本尊であったが、天正(てんしょう)年間(1573~1592)の火災により御堂は焼失したものの、庭の池の田螺がびっしりと覆って観音様を守ったと伝えられており、「たにし観音」ともいわれている。