本文
じょしんぞう
1躯
県指定/彫刻
昭和31年5月21日
湯沢市松岡字聖ケ沢44番地
白山神社
平安時代(12世紀)
像高164.4センチメートル ケヤキ材 一木造
全身虫害が著しいが、材質が堅いため当初の膚(はだ)が残っている。両腕以下が欠損しているため判然としないものの、拱手(きょうしゅ)はせずに持物(じもつ)を持った姿のように見受けられる。頭髪は前髪を揃え、垂髪(すいほつ)が耳を覆う。上衣と裳(も)を着用し、上衣は腰紐で結び、紐の結び目を正面に表す。目は伏し目がちで温和な表情を浮かべている。足元には木株をそのまま残し、立木仏であることを証明している。また、用材に選ばれたケヤキは霊木や神木等、特別な由緒を持つ木であったとみられる。
体躯(たいく)は量感や抑揚を控え、全体に細見に表されていること、頬や腹部などにみえる鉈彫(なたぼり)技法などから平安時代(12世紀)の作品と考えられる。
本像は、山田地区松岡の白山(はくさん)(標高288.7m)山上にある白山神社に祀(まつ)られており、麓には寿永(じゅえい)三年(1184)や建久(けんきゅう)七年(1196)銘の経筒などが発見された松岡経塚がある。