本文
さんずがわじゅうおうどうでんらいしょぞう
36躯
市指定/彫刻
昭和43年12月23日
湯沢市高松字三途川98番地
三途川集落
江戸時代中~後期
木造 カツラ材 彫眼
十王像2組と多数の地蔵菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)からなる。概ねカツラ材、頭体幹部一材(坐像は膝前も含む)、素地仕上げ、彩色の痕跡も認められるがほぼ剥落している。いずれも専門仏師の制作とは認めがたいが、厳しい表情を示しながらも、素朴で愛らしい雰囲気を醸し出している。これらの像は長年にわたり信奉者がそれぞれに奉献したものとみられる。
十王は冥界にあって死者の罪業を裁判する10人の王で、その他、三途川のほとりで人の衣をはぐ奪衣婆(だつえば)、地蔵菩薩などの像が祀(まつ)られている。
三途川の地名は、高松川、湯尻川、桑ノ沢の三つの川が合流し、かつ霊場川原毛(かわらげ)に由来する。また、堂宇の立つ場所は、川原毛にあった霊通山前湯寺(ぜんとうじ)が、明徳(めいとく)年中(1390~94)、栴壇(せんだん)上人によって再建された地である。その後、長禄(ちょうろく)元年(1457)、前湯寺は小野寺氏の菩提寺として稲庭村に移され嶺通山広沢寺(こうたくじ)として開山した。これに代わり境内跡地に十王堂が建立され、現在に至る。