本文
じゅういちめんかんのんざぞう
1躯
市指定/彫刻
平成16年2月12日
湯沢市三梨町字御嶽堂93番地
桂薗寺
鎌倉時代後末期(14世紀前半)
像高27.1センチメートル 一木造 彫眼
現状は古色であるが顔に若干金装が残る。褊衫(へんさん)で右肩と右脇を被い、腹部に僧衹支(ぞうぎし)をわずかに覗かせ、大衣(だいえ)を着け、胸に子持ち宝珠花文の胸飾りを彫り込む。左手を施無畏印(せむいいん)に右手を与願印(よがんいん)に結び、右足を前に結跏趺坐(けっかふざ)する。左手は後補である。
この像の最大の特色は、地髪上に頂上仏が上半身を表し、その上半身が高髻(こうけい)の代わりを成している点と宋様式の服装にある。これらの様式、彫法から制作年代は鎌倉時代後末期で、宋様式が盛行した関東地方で学んだ仏師の作と推定される。
この像は、徳治(とくじ)二年(1307)に桂薗寺開基(けいおんじかいき)藤原朝臣泰道(ふじわらのあそんやすみち)が常陸国麻生(ひたちのくにあそう)から移住してきた際に背負ってきたとの伝えがある。