本文
そちゅううめかしわそうちょうもんきょう
1面
市指定/考古資料
平成28年3月23日
湯沢市川連町字中久保
(出土地 湯沢市川連町字上平城地内)
個人
鎌倉時代
直径9.0センチメートル 縁高0.6センチメートル 銅造
この古鏡は、昭和初期、平城(ひらじょう)跡(現湯沢市役所稲川庁舎)西側に位置する当時の県道(現国道398号)改修工事の際に出土したものである。
出土時の状況は、平城跡西側の堀状遺構の底から刀・焼米などとともに出土し、鏡の数は多数あったと伝えられているが、現在確認されているのは、本鏡ともう一つの2面のみである。
本鏡は、やや厚手の鏡胎で、鏡背は最外に縁を造り、一重の界圏(かいけん)で内区と外区とに分け、外区に梅及び柏を配置し、内区に梅、柏及び飛翔する双雀をあしらう。各々の文様は小ぶりだが、文様を多くあらわすことで余白が少ない構図が特徴である。小ぶりかつ温雅な文様は、平安時代(12世紀)の作風が見受けられるが、余白の少ない構図から制作年代の下降を窺(うかが)わせる。よって、本鏡は平安時代の余風を残す鎌倉時代の制作と判断される。
同時に出土した「亀座鈕蓬莱松菊双鶴接嘴文鏡(きざちゅうほうらいまつきくそうかくせっしもんきょう)」は、近世初期の制作と考えられることから、平城が長期にわたり使用されたことを示す資料である。