本文
りょうぜきしゅぞうほんかんほかよんとう
5棟
国登録/建造物
平成8年12月20日
湯沢市前森四丁目3番18号
両関酒造株式会社
両関酒造は、明治7年(1874)創業の清酒醸造元で、明治末から大正にかけて全国清酒品評会で1等賞を獲得するなど、「両関」の銘柄とともに秋田の酒を全国に知らしめた。
本館は大正12年(1923)の建築で、伝統的な町屋形式の意匠による建物である。大屋根の妻入部分が事務所、接続する平入部分が住宅部分となる。繊細な格子が付けられた窓と妻部分にみられる和小屋の梁の重なりが美しく、老舗としての風格のある景観は酒処湯沢のシンボルとして親しまれている。1号から4号の酒蔵はすべて土蔵造、屋根・壁ともに漆喰仕上げで、大屋根で覆われており、現在は、すべて貯蔵庫として使用されている。これらの土蔵はいずれも和小屋が採用されている。八代伊藤仁右衛門(いとうにえもん)の代の、明治25年(1892)から大正5年(1916)にかけて建てられたもので、棟梁は高久三太郎(たかくさんたろう)である。
この時期、洋小屋を採用する倉庫・工場が多い中、外からの技術導入を介在させず自律的に近代化をとげた貴重な建造物である。平成8年(1996)、文化財登録制度創設により、全国で最初に登録されたものの一つである。