本文
はちまんだいぼさつぞうみしょうたい
1面
市指定/彫刻
平成30年8月8日
湯沢市字内館町
八幡神社氏子
寛永3年(1626)
径37.2センチメートル
本御正躰は、佐竹南家第4代佐竹義章(よしあき)の奉納品である。
一般的に八幡神の本地仏(ほんじぶつ)は阿弥陀如来であるが、本御正躰は愛染明王とすることが特筆される。これは、蒙古襲来に伴い弘安8(1285)年、鶴岡八幡宮第10代別当により始行された修法を先例とするものである。鶴岡八幡宮は源氏の守護神であることから、本御正躰は時代が近世に降るものの、いわば「源氏直系の八幡信仰」に連なる稀有な作例といえる。このような本地仏の選択からは源義光嫡流たる義章の正統性と誇りとを窺わせ、本御正躰の制作及び奉納に対する彼の思いを読み取ることが可能である。
また、特に注目されるのは、奉納銘を有することであり、「八幡大菩薩/寛永三年/九月吉日/佐竹左衛門 寄進」の銘文が刻まれている。制作年代及び技法等が共通する御正躰と比較して、本御正躰の制作は入念かつ優秀な仕上がりと評価され、当地の歴史文化を知る上で掛け替えのない情報として保護すべき資料である。