本文
左:オシキリウスバホタルガの化石
右:有翅女王アリの化石
おしきりしんしゅうしゅうのかせきひょうほん
214点
市指定/天然記念物
令和8年3月13日
湯沢市高松字上地6番地2(湯沢市郷土学習資料展示施設(ジオスタ☆ゆざわ)内)
湯沢市
押切伸氏は、1953年秋田大学学芸学部(現在の教育文化学部)を卒業後、秋田県立湯沢高等学校等で教鞭を取る傍ら湯沢市高松地区にある三途川層(さんずがわそう)を中心に、植物化石や昆虫化石を採集・研究し、発表されてきた。
三途川層は、中新世後期から鮮新世にかけて起こった巨大噴火によって形成された三途川カルデラの一部分に堆積した湖成堆積物で、層厚は200~400mである。水の動きがほとんどない静かな山岳地の湖であったため、湖の底に葉や昆虫が沈んだ後、腐敗する前に泥や細かい砂、火山灰が積もり化石として保存されている。
三途川層産の化石群は当時の東北日本地域の植生や地球環境、気候を研究することに欠かせない学術的に極めて貴重な標本である。さらに、2025年慶応義塾大学等の研究チームにより、これまでヤガ科の仲間として保管してきた化石資料1点が、ウスバホタルガ属の新種であることが明らかになり、発見者の氏にちなんで「オシキリウスバホタルガ(Agalope oshikirii)」として記載された。
2012年6月、押切伸・三途川植物化石を保存する会の活動により、氏より本市教育委員会へ主に三途川層産の化石で構成される採集標本が一括で寄贈された。同年、現湯沢市郷土学習資料展示施設(ジオスタ☆ゆざわ)内に「三途川化石資料室」としてオープンした。氏が研究のために採集し、丹念な観察・分類を行ったことによって、今日の貴重な郷土資料として公開することができたことに大きく貢献したと言える。